シアター・オリンピックスとは

1993年に、世界各国で活躍する演出家、劇作家により創設された国際的な舞台芸術の祭典です。芸術家同士の共同作業によって企画されることを特徴としていて、シアター・オリンピックスの芸術監督は開催国の国際委員が務め、企画・運営を行います。世界の優れた舞台芸術作品の上演の他に、シンポジウムやワークショップなどを行い、作品の創造や教育、若い芸術家への支援を行うことを目的としています。

創設の経緯

シアター・オリンピックスの構想は、1990年代の初め、当時、演出家・鈴木忠志が主催していた国際演劇祭で公演するために来日していたギリシアの演出家・テオドロス・テルゾプロスにより提案されました。

当時、テオは危機感を抱いていた。米ソの冷戦が終わって、これからは希望が持てる世界になるのではないかと思っていたら、逆に東欧だとか、ギリシアに近いあちこちで民族紛争が噴出していた。そうしたなかで、演劇人は連帯して人類の未来のために頑張らなくてはいけない、と。こうした感覚というのは、やはり日本にいると鈍くなります。鈴木は、多くの海外の人たちともつきあっているので、そうした問題意識も実感としてわかるところがあったのだと思う。
(斉藤郁子<初代シアター・オリンピックス国際委員会事務局長・故人>「SCOTの軌跡を語る」より)

テオドロス・テルゾプロスと鈴木忠志の呼びかけにより、アメリカのロバート・ウィルソン、ドイツのハイナー・ミュラー、ロシアのユーリ・リュビーモフ、イギリスのトニー・ハリソン、スペインのヌリア・エスペル、ブラジルのアントゥネス・フィーリョが参加して1993年の夏、ギリシアのデルフォイにおいてシアター・オリンピックス国際委員会が創設されました。そして1995年、アテネ、デルフォイ、エピダウロスで第一回シアター・オリンピックスが開催されました。
国際委員の共同作業により、シアター・オリンピックス憲章がつくられ、詩人でもあるトニー・ハリソンの発案で“Crossing Millennia(千年紀を過ること―過去と未来の相互交流)”というサブタイトルを定めました。また、ロゴは美術家でもあるロバート・ウィルソンによってデザインされています。

シアター・オリンピックス

「世界の果てからこんにちは」(鈴木忠志演出)

第9回シアター・オリンピックス

開催概要

日本・利賀、黒部とロシア・サンクトペテルブルクで開催

日本開催

芸術監督 鈴木忠志
日程 2019年8月23日~9月23日
会場 利賀・富山県利賀芸術公園
黒部・宇奈月国際会館「セレネ」、前沢ガーデン円劇場(野外ステージ)
企画事業 20カ国30プログラムを予定
(シンポジウム、ワークショップ等を含む)

※プログラム詳細は、2018年夏に発表予定

利賀芸術公園 野外劇場

利賀芸術公園 大山房

利賀芸術公園 新利賀山房

利賀芸術公園 岩舞台

黒部 前沢ガーデン円劇場(野外ステージ)

黒部 宇奈月国際会館「セレネ」

ヘロディオン野外劇場・アテネ

シアター・オリンピックス開催によせて

シアター・オリンピックス・利賀 <鈴木忠志>

シアター・オリンピックス憲章

第1条

本事業は、名称を「シアター・オリンピックス」とし、サブタイトルを〈千年紀(ミレニア)を過(よぎ)ること〉、〈過去と未来の相互交流〉を意味する「クロッシング・ミレニア」とする。

デルフォイの野外劇場

第2条

国際委員会を組織し、「シアター・オリンピックス」に関するすべての事業の計画及び運営は、この委員会の責任によって行う。
国際委員会のメンバーは以下のとおり。
テオドロス・テルゾプロス(委員長/ギリシア)
ヌリア・エスペル(スペイン)
アントゥネス・フィーリョ(ブラジル)
トニー・ハリソン(イギリス)
ユーリ・リュビーモフ(ロシア)
ハイナー・ミュラー(ドイツ)
鈴木忠志(日本)
ロバート・ウィルソン(アメリカ)

第3条

国際委員会の委員は事業計画についての提言にとどまらず、芸術家である全委員が、共同作業によって事業を責任を以て実施することを本組織の特徴とする。

第4条

国際委員会は、原則として年1回開催するものとする。

「カルテット」
(テオドロス・テルゾプロス演出)

第5条

国際委員会への新たな委員の入会には、委員1名の推薦及び、委員の3分の2の同意を必要とする。

「トロイアの女」(鈴木忠志演出)

第6条

国際委員会の委員長は、テオドロス・テルゾプロスとする。

第7条

シアター・オリンピックスの本部事務局は、ギリシアのアテネにおく。

第8条

当面のシアター・オリンピックスは、原則として、国際委員の国において開催する。
シアター・オリンピックス開催国の委員が、芸術監督の責務に当たる。
開催国の委員(芸術監督)は、シアター・オリンピックスのテーマ及びプログラムを立案し、委員会に計画書を提出し、同意を得るものとする。

「クラップの最後のテープ」
(ロバート・ウィルソン演出)

第9条

各開催国は、シアター・オリンピックスの成功を期するため、開催国の実情に即した委員会を組織する。この組織はその国の文化を代表する人々によって形成される。

利賀山房

第10条

国際委員会は、公式ロゴマークを決定し、全てのシアター・オリンピックス及び関連事業に、この公式ロゴマークを使用する。

第11条

シアター・オリンピックスの事業内容は、以下のとおりとする。

  • a.数年ごとにシアター・オリンピックスを開催し、優れた作品の上演ならびにシンポジウムやワークショップを行う。
  • b.上記に加え、演劇の考え方、作品の創造、教育等のプログラムを持続的に各地で行う。
  • c.歴史的な舞台芸術作品の保存・記録。戯曲が著作として残るように、演出や実際に上演された作品を記録するシステムを確立する必要がある。
  • d.舞台芸術家の国際的なネットワークの形成。
  • e.若い芸術家への訓練、支援。

「マラー/サド」
(ユーリ・リュビーモフ演出)

1994年6月18日
ギリシア、アテネにて

国際委員(創設者)

  • A. テオドロス・テルゾプロス
    Theodoros Terzopoulos
    (委員長)
    ギリシア
    1947~

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    1947年生まれ。演出家。「アティス・シアター」主宰。テッサロニキ劇場の芸術監督、北ギリシア国立劇場の評議員などを歴任。演出家として世界各地で活躍する一方、デルフォイ世界演劇祭、地中海演劇祭の芸術監督など、演劇における国際的オーガナイザーとして、ヨーロッパで重要な位置を占めている。

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  • B. ヌリア・エスペル
    Nuria Espert

    スペイン
    1935~

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    1935年生まれ。現代スペインを代表する演出家であり、女優でもある。スペインの代表的な劇作家ガルシア・ロルカの『イェルマ』の演出で世界的な名声を獲得する。自らの劇団を主宰するほか、スペイン国立劇場をはじめ世界各地での演出家としての活動、オペラの演出など、幅広く活動している。

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  • C. アントゥネス・フィーリョ
    Antunes Filho

    ブラジル
    1929~

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    1929年生まれ。演出家。劇団「テアトロ・マクナイマ」主宰。ブラジルを代表する演劇人として、アメリカ、ヨーロッパ各地で活躍。また、ブラジルでは、自らの創作活動のほか、海外の優れた舞台芸術の紹介、若い演劇人の教育などを行い、南米の舞台芸術の中心的存在である。

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  • D. トニー・ハリソン
    Tony Harrison

    イギリス
    1937~

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    1937年生まれ。著名な詩人であり、劇作家・演出家。彼の書き下ろした作品の多くがイギリスのナショナル・シアターのレパートリーとなっている。ギリシア古典劇にもとづいた作品は数多く、現代における古典の意味について、常に鋭い問題提起を行っている。

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  • E. ユーリ・リュビーモフ
    Yuri Lyubimov

    ロシア
    1917~2014

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    1917年生まれ。演出家。1964年、現代演劇の世界的拠点となっているモスクワのタガンカ劇場を創立。主席演出家として次々と衝撃的な作品を発表するが、1984年に亡命。以後ヨーロッパで演劇・オペラを数多く演出、世界の演劇界に大きな影響を及ぼしてきた。1989年、再びロシアに戻り活躍した。

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  • F. ハイナー・ミュラー
    Heiner Muller

    ドイツ
    1929~1995

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    1929年生まれ。劇作家・演出家。東ドイツでギリシア悲劇やシェイクスピアにもとづいた作品を発表。本国では長く上演禁止となっていたが、世界各地の演劇祭で彼の作品が連続上演されるなど、20世紀最大の劇作家のひとりと評される。ベルトルト・ブレヒトの創立したベルリーナ・アンサンブルの芸術監督のひとりとして活躍した。

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  • G. 鈴木忠志
    Suzuki Tadashi

    日本
    1939~

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    1939年生まれ。演出家。劇団「SCOT」主宰。1982年より日本で初めての世界演劇祭「利賀フェスティバル」を開催。世界各地での上演活動や共同作業など国際的に活躍するのみならず、俳優訓練法スズキ・トレーニング・メソッドは世界各国で学ばれている。ギリシア悲劇など古典に対する現代的視点と、独自の俳優訓練法に支えられたその舞台は世界の多くの演劇人に影響を与えている。

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  • H. ロバート・ウィルソン
    Robert Wilson

    アメリカ
    1941~

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    1941年生まれ。演出家。音楽、美術、建築などを総合的にその作品世界にとりこんだ彼の舞台は、イメージの演劇として世界に衝撃を与えた。美術家としても活躍する一方、ニューヨークに芸術家の国際的な共同作業の場「ウォータミル・センター」を創設するなど、演劇のみならずジャンルを超えて世界の芸術界をリードしている。

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シアター・オリンピックスの記録

シアター・オリンピックス 第1回~第8回

  第1回(1995) 第2回(1999) 第3回(2001) 第4回(2006) 第5回(2010) 第6回(2014) 第7回(2016) 第8回(2018)
開催国 ギリシア 日本 ロシア トルコ 韓国 中国 ポーランド インド
開催地 デルフォイ、アテネ、エピダウロス 静岡 モスクワ イスタンブール ソウル 北京 ヴロツワフ ニューデリー、他16都市
テーマ Tragedy Creating Hope 希望への貌 Theatre for the People Beyond the Borders Sarang : Love and Humanity Dream The World as a Place for Truth Flag of Friendship
期間 1995年8月19日~8月27日 1999年4月16日~6月13日 2001年4月21日~6月29日 2006年5月11日~6月6日 2010年9月24日~11月7日 2014年11月1日~12月25日 2016年10月14日~11月13日 2018年2月17日~4月8日
芸術監督 テオドロス・テルゾプロス 鈴木忠志 ユーリ・リュビーモフ テオドロス・テルゾプロス チェ・チリム 劉立濱(リュー・リービン) ヤロスロウ・フレット ラタン・ティヤム
参加国・作品数 7カ国9作品 20カ国42作品 32カ国97作品 13カ国38作品 13カ国48作品 22カ国46作品 14カ国86作品 35カ国465作品
  • 第1回(1995)
    開催国
    ギリシア
    開催地
    デルフォイ、アテネ、エピダウロス
    テーマ
    Tragedy
    期間
    1995年8月22日~8月27日
    芸術監督
    テオドロス・テルゾプロス
    参加国・作品数
    7カ国9作品
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  • 第2回(1999)
    開催国
    日本
    開催地
    静岡
    テーマ
    Creating Hope 希望への貌
    期間
    1999年4月16日~6月13日
    芸術監督
    鈴木忠志
    参加国・作品数
    20カ国42作品
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  • 第3回(2001)
    開催国
    ロシア
    開催地
    モスクワ
    テーマ
    Theatre for the People
    期間
    2001年4月21日~6月29日
    芸術監督
    ユーリ・リュビーモフ
    参加国・作品数
    32カ国97作品
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  • 第4回(2006)
    開催国
    トルコ
    開催地
    イスタンブール
    テーマ
    Beyond the Borders
    期間
    2006年5月11日~6月6日
    芸術監督
    テオドロス・テルゾプロス
    参加国・作品数
    13カ国38作品
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  • 第5回(2010)
    開催国
    韓国
    開催地
    ソウル
    テーマ
    Sarang : Love and Humanity
    期間
    2010年9月24日~11月7日
    芸術監督
    チェ・チリム
    参加国・作品数
    13カ国48作品
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  • 第6回(2014)
    開催国
    中国
    開催地
    北京
    テーマ
    Dream
    期間
    2014年11月1日~12月25日
    芸術監督
    劉立濱(リュー・リービン)
    参加国・作品数
    22カ国46作品
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  • 第7回(2016)
    開催国
    ポーランド
    開催地
    ヴロツワフ
    テーマ
    The World as a Place for Truth
    期間
    2016年10月14日~11月13日
    芸術監督
    ヤロスロウ・フレット
    参加国・作品数
    14カ国86作品
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  • 第8回(2018)
    開催国
    インド
    開催地
    ニューデリー、他16都市
    テーマ
    Flag of Friendship
    期間
    2018年2月17日~4月8日
    芸術監督
    ラタン・ティヤム
    参加国・作品数
    35カ国465作品
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冬の利賀

主催
(公財)舞台芸術財団演劇人会議
シアター・オリンピックス2019
実行委員会(会長:𠮷田忠裕